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コンプレックスだった広い額を愛せるようになった私の物語
子供の頃から、私は「デコッパチ」というあだ名で呼ばれることがありました。集合写真を見ると、私の額はクラスメイトの誰よりも広く、光を反射して輝いているように見えました。当時はそれが恥ずかしくてたまらず、前髪を厚く下ろして眉毛まで隠すことが私の絶対的なルールでした。風の強い日は外に出るのが嫌で、体育の授業で走る時も前髪が割れないかばかりを気にしていました。青春時代の私は、広いおでこという呪縛に囚われ、自分らしさを表現することに臆病になっていたのです。そして20代半ばに差し掛かると、新たな恐怖が私を襲いました。「この広いおでこは、将来ハゲる前兆なのではないか」という疑念です。社会人になり、ストレスや不規則な生活が続いたある日、洗面台の鏡を見て愕然としました。かつては指3本分だったはずの額が、心なしか指4本分近くまで広がっているように感じたのです。生え際の産毛も弱々しく、これはもう「広いおでこ」という個性ではなく、「薄毛の進行」という現実なのだと突きつけられた瞬間でした。焦った私は、高価な育毛剤を買い漁り、ネットで見た怪しげなマッサージを試し、さらに前髪を伸ばして隠そうとしました。しかし、隠せば隠すほど、汗で濡れた前髪は貧相になり、周囲の視線が余計におでこに向いているような被害妄想に陥りました。自信を失い、人の目を見て話せなくなり、仕事にも支障が出始めていました。転機が訪れたのは、行きつけの美容室を変えた時でした。新しい担当の美容師さんは、私の注文通りに前髪を残そうとする手を止め、「お客様の骨格なら、出した方が絶対にカッコいいですよ」と言い放ったのです。私は抵抗しましたが、彼は「海外の俳優を見てください。おでこが広いのはセクシーさの象徴です。隠すから気になるんです」と熱心に説得してくれました。半信半疑のまま、私は人生で初めてのアップバングに挑戦することにしました。ハサミが入るたびに床に落ちる長い前髪を見て、心臓がバクバクしましたが、セットが終わって鏡を見た時、そこにいたのは見知らぬ、しかし自信に満ちた男の顔でした。額を出すことで目が強調され、表情がパッと明るくなっていたのです。「あれ? 悪くないかもしれない」。そう思った瞬間、肩の荷が下りたような気がしました。翌日、会社に行くと同僚たちから「髪切った? その方が全然いいじゃん」「清潔感があるね」と褒められたのです。誰も私の広いおでこを笑ったりしませんでした。むしろ、隠そうとしていた不自然さが消えたことで、好感度が上がったようでした。この成功体験は、私に大きな自信を与えてくれました。それと同時に、私はAGAクリニックにも通い始めました。美容師さんのカットで見た目は改善されましたが、生え際の後退自体は医学的に対処すべきだと気づいたからです。医師の診断を受け、適切な治療薬を服用することで、生え際の産毛もしっかりとした髪に育っていきました。