AGA

AGAと他の脱毛症見分け方の要点

抜け毛や薄毛が気になり始めると、すぐに「AGA(男性型脱毛症)かもしれない」と考えてしまいがちですが、髪が抜ける原因は一つではありません。AGA以外の脱毛症も存在し、それぞれ原因や対処法が異なります。正しい判断を下すためには、AGAと他の代表的な脱毛症との違い、見分け方の要点を理解しておくことが重要です。まず、AGAの最大の特徴は、薄毛が「特定のパターン」で「ゆっくり」進行することです。額の生え際(特にM字部分)や頭頂部(つむじ周辺)から薄くなり始め、側頭部や後頭部の髪は比較的残りやすい傾向があります。また、進行は年単位で徐々に進むことが一般的です。これに対し、「円形脱毛症」は、自己免疫系の異常などが原因と考えられ、突然、コインのような円形または楕円形の脱毛斑が現れるのが特徴です。場所は頭部のどこにでも起こりえ、時には眉毛や体毛にも及びます。AGAのような特定のパターンはなく、進行も比較的急激です。次に「脂漏性脱毛症」は、皮脂の過剰分泌と常在菌(マラセチア菌)の増殖による頭皮の炎症(脂漏性皮膚炎)が原因で起こります。AGAと異なり、頭皮に赤み、かゆみ、ベタつき、湿ったフケなどの「炎症症状」を伴うことが大きな違いです。薄毛のパターンもAGAほど典型的ではなく、頭部全体的に薄くなる傾向があります。また、「牽引性脱毛症」は、髪を強く引っ張る髪型(ポニーテールなど)を長期間続けることで、物理的な力が毛根にかかり、生え際などを中心に脱毛が起こるものです。原因がはっきりしており、髪型を変えることで改善が見込めます。その他、甲状腺機能の異常、栄養障害(鉄欠乏など)、薬剤の副作用、強いストレスなどが原因で、頭部全体がびまん性(広範囲)に薄くなることもあります。これらの脱毛症とAGAを見分けるポイントは、①薄毛の進行パターン(部位と形)、②進行のスピード(ゆっくりか急激か)、③頭皮の状態(炎症やかゆみの有無)、④脱毛斑の形状(境界明瞭な円形か否か)、⑤抜け毛の質(軟毛化の有無)などを総合的に見ることです。しかし、自己判断は難しく、複数の要因が絡んでいる場合もあります。正確な診断のためには、必ず皮膚科などの専門医を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。