大学3年生の夏、ふと鏡を見たときに愕然とした。以前より額が広くなっている気がしたのだ。気のせいだと思いたかったが、スマートフォンのカメラで頭頂部を撮ってみると、そこにはっきりと地肌が透けて見えていた。まだ22歳。AGAなんて、もっと年配の人の悩みだと思っていたのに。正直、頭が真っ白になった。それからは、人の視線が常に自分の頭に向いているような気がして、外出するのが億劫になった。友人との集まりも避けがちになり、自信を失っていくのを感じた。インターネットで「20代 薄毛」「若年性脱毛症」と検索する毎日。出てくる情報は様々で、不安を煽るものもあれば、怪しげな育毛グッズの広告も目についた。藁にもすがる思いで、高価な育毛シャンプーを試してみたが、効果は全く感じられなかった。数ヶ月が過ぎ、悩みは深まるばかり。このままではいけないと思い、勇気を出して皮膚科を受診することにした。診察室で医師に頭皮を見てもらうのは恥ずかしかったが、マイクロスコープで拡大された自分の頭皮の状態を見て、AGAであることをはっきりと告げられた。診断された瞬間はショックだったが、同時に、原因がはっきりしたことで少しだけ安堵したのも事実だ。医師はAGAのメカニズムや治療法について丁寧に説明してくれた。遺伝的要因が大きいこと、そして治療薬によって進行を抑えられる可能性があること。僕は、内服薬による治療を開始することにした。薬を飲み始めてすぐに劇的な変化があったわけではない。しかし、医師の指示通りに毎日欠かさず服用し、生活習慣にも気を配るようにした。半年ほど経った頃、抜け毛が減ってきたように感じ、1年が過ぎる頃には、以前より髪にコシが出てきた気がした。鏡で頭頂部を確認しても、以前ほど地肌が目立たなくなっていた。もちろん、完全に元通りになったわけではないし、治療はこれからも続けていく必要がある。でも、あの時勇気を出して病院に行って本当に良かったと思う。AGAは確かに辛い経験だったけれど、早期に向き合うことで、状況を改善できることを身をもって知った。もし同じように悩んでいる人がいたら、一人で抱え込まず、専門家に相談してみてほしい。きっと道は開けるはずだ。
— AGA —
まさか自分が?20代AGA体験談
2022年12月19日