男性型脱毛症（ＡＧＡ）の進行には、特徴的なパターンが見られます。どこから薄毛が始まり、どのように広がっていくのか。この「薄毛のパターン」を観察することは、自分がＡＧＡである可能性を判断するための重要な基準となります。もしご自身の薄毛が典型的なパターンに当てはまる場合、ＡＧＡを強く疑う根拠となります。最も代表的なパターンの一つが、額の生え際が後退していくタイプです。特に、左右のこめかみ部分から徐々に後退し、正面から見るとアルファベットの「Ｍ」のような形になることから「Ｍ字型」と呼ばれます。人によっては、生え際全体が徐々に後退していく場合もあります。ＡＧＡの初期段階でこのパターンが現れることが多く、変化に気づきやすい部分でもあります。もう一つの典型的なパターンが、頭頂部、いわゆる「つむじ」周辺から円を描くように薄くなっていく「Ｏ字型」です。この部分は自分では直接見えにくいため、合わせ鏡を使ったり、家族や友人に指摘されたりして初めて気づくこともあります。髪の密度が低下し、地肌が透けて見える範囲が徐々に広がっていきます。これらＭ字型とＯ字型の薄毛は、片方だけが進行することもあれば、両方が同時に進行することもあります。さらに症状が進むと、前頭部の後退と頭頂部の薄毛がつながり、前頭部から頭頂部にかけての広範囲が薄くなる「Ｕ字型」と呼ばれる状態になることもあります。これらのパターンがＡＧＡに特徴的なのは、前頭部や頭頂部の毛包が、ＡＧＡの原因となる男性ホルモン（ＤＨＴ）の影響を特に受けやすいためです。逆に、側頭部や後頭部の髪はＤＨＴの影響を受けにくく、薄毛が進行しても残りやすい傾向があります。したがって、ご自身の薄毛がこれらの特定のパターンで進行しているかどうかを確認することが、ＡＧＡを判断する上で非常に重要な手がかりとなるのです。