薄毛や抜け毛の悩みを抱える方にとって、「育毛シャンプー」という言葉は非常に魅力的に響くかもしれません。毎日の洗髪で手軽にケアできるなら、と期待を寄せる方も多いでしょう。しかし、育毛シャンプーの効果を正しく理解しておくことは非常に重要です。まず明確にしておきたいのは、育毛シャンプーは医薬部外品に分類されるものが多く、その主な目的は「頭皮環境を健やかに保つこと」であり、医薬品である「発毛剤」のように、直接的に髪を生やす効果(発毛効果)が認められているわけではない、という点です。育毛シャンプーに期待される主な役割は、頭皮の洗浄、保湿、血行促進、抗炎症などによって、髪が育ちやすい土壌、つまり健やかな頭皮環境を整えることです。例えば、過剰な皮脂や汚れは毛穴を詰まらせ、頭皮の炎症や抜け毛の原因となることがあります。育毛シャンプーは、頭皮に必要な潤いを保ちつつ、これらの汚れを適切に洗浄する成分を含んでいます。また、血行を促進する成分や、フケやかゆみを抑える抗炎症成分などが配合されている製品もあります。これらは、髪の成長を妨げる要因を取り除き、今ある髪を健康に保ち、抜け毛を予防することに繋がると考えられます。しかし、男性型脱毛症(AGA)のように、遺伝やホルモンが主な原因である進行性の脱毛症の場合、育毛シャンプーだけで薄毛の進行を止めたり、顕著な改善を期待したりするのは難しいのが現実です。AGAの治療には、医師の診断のもとで、原因にアプローチする医薬品(内服薬や外用薬)が必要となる場合がほとんどです。育毛シャンプーは、あくまで頭皮ケアの一環であり、薄毛対策の補助的な役割と捉えるのが適切でしょう。過度な期待はせず、その役割を正しく理解した上で、自分の頭皮状態に合った製品を選び、正しい使い方をすることが大切です。
— 抜け毛 —
育毛シャンプーの役割と正しい理解
2020年6月4日