AGA(男性型脱毛症)治療において、「発毛」を促す効果が医学的に認められている代表的な成分が「ミノキシジル」です。特にミノキシジルを配合した外用薬(塗り薬)は、ドラッグストアなどでも購入可能な一般用医薬品(第一類医薬品)としても販売されており、比較的多くの方が手に取りやすい治療薬と言えるでしょう。ミノキシジルの発毛促進効果は、主に二つの作用によるものと考えられています。一つは、血管拡張作用による頭皮の血行促進です。ミノキシジルを頭皮に塗布することで、毛細血管が拡張し、毛根への血流が増加します。血行が改善されると、髪の成長に必要な栄養素や酸素が毛母細胞へより効率的に供給されるようになり、毛髪の成長が促されると考えられています。もう一つは、毛母細胞への直接的な作用です。ミノキシジルは毛母細胞のアポトーシス(細胞死)を抑制し、さらに毛母細胞の増殖を促進する働きがあることが示唆されています。これにより、休止期にある毛包を成長期へと移行させ、髪の毛の成長期間を延長させる効果が期待できます。これらの作用により、ミノキシジル外用薬は、細く短くなった髪の毛を太く長く成長させ、新たな髪の発毛を促す効果を発揮します。内服薬であるフィナステリドやデュタステリドが、主にDHTの生成を抑えて「抜け毛を防ぐ」守りの治療薬であるのに対し、ミノキシジル外用薬は「発毛を促す」攻めの治療薬としての性格が強いと言えます。そのため、AGA治療においては、内服薬とミノキシジル外用薬を併用することで、抜け毛抑制と発毛促進の両面からアプローチし、より高い治療効果を目指すケースも多く見られます。ミノキシジル外用薬の効果を実感するには、通常4ヶ月から6ヶ月程度の継続使用が必要とされています。濃度が高いほど効果も高い傾向がありますが、同時に副作用(頭皮のかゆみ、かぶれ、初期脱毛など)のリスクも高まる可能性があるため、最初は低濃度のものから試す、あるいは医師や薬剤師に相談することが推奨されます。継続的な使用によって、毛髪の密度や太さの改善が期待できる、AGA治療における重要な選択肢の一つです。
— 抜け毛 —
ミノキシジル外用薬の発毛促進効果
2025年4月19日