プラセンタが育毛に効果を発揮する可能性の根拠として、特に重要視されているのが「成長因子（グロースファクター）」の存在です。成長因子とは、体内で特定の細胞の増殖や分化を促進するシグナル伝達物質（主にタンパク質）の総称です。私たちの体の成長や組織の修復に不可欠な役割を担っており、もちろん髪の毛の成長にも深く関わっています。胎盤（プラセンタ）には、胎児の急速な成長をサポートするために、多種多様な成長因子が豊富に含まれていることが知られています。これらの成長因子が、頭皮や毛根にどのような働きかけをすると期待されているのでしょうか。代表的な成長因子とその働き（推定されるものを含む）をいくつかご紹介します。* HGF（肝細胞増殖因子）： 毛乳頭細胞や毛母細胞の増殖を促し、毛髪の成長期を誘導する働きがあると考えられています。血管新生作用も持ち、血行促進にも関与する可能性があります。* KGF（ケラチノサイト増殖因子）： 毛髪の主成分であるケラチンを作り出す細胞（ケラチノサイト＝毛母細胞）の増殖を直接的に促進する重要な因子とされています。* IGF（インスリン様成長因子）： 毛母細胞の活性化や、毛髪の成長期の維持に関与すると考えられています。他の成長因子との相乗効果も期待されます。* VEGF（血管内皮細胞増殖因子）： 新しい血管の形成（血管新生）を促し、毛根周辺の血流を改善する働きがあります。これにより、毛根への栄養供給が向上します。* FGF（線維芽細胞増殖因子）： 線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進したり、血管新生をサポートしたりすると考えられています。頭皮環境全体の改善に寄与する可能性があります。プラセンタには、これらの成長因子が単独ではなく、複合的に含まれています。それぞれの成長因子が互いに連携し、相乗効果を発揮することで、毛母細胞の活性化、ヘアサイクルの正常化、血行促進、頭皮環境の改善などを促し、総合的に育毛をサポートするのではないかと期待されているのです。ただし、プラセンタ製品に含まれる成長因子の種類や量は製品によって異なり、またその効果がどの程度発揮されるかについては、さらなる研究が必要です。