薄くなってきた生え際、いわゆるM字ラインを気にするあまり、前髪を長く伸ばして必死に隠そうとする男性は少なくありません。しかし、その行為が逆効果になっていることに気づいているでしょうか。長すぎる前髪は、汗や皮脂で束になりやすく、額の隙間から頭皮が透けて見える「すだれ状態」を招きます。これは周囲に「隠しているな」という印象を与え、清潔感を損なうだけでなく、かえって視線を額に集めてしまう結果となりかねません。M字の悩みを解消するための逆転の発想、それが「隠さずにあえて出す」という選択、すなわちアップバングスタイルです。額を潔く露出させることで、光が顔全体に当たり、明るく自信に満ちた表情を相手に印象づけることができます。さらに、視線が前髪の生え際ではなく、顔立ちや表情そのものに向けられるようになるため、コンプレックスであるM字部分が不思議と気にならなくなるのです。アップバングの基本は、ショートヘアをベースに、前髪の根元をドライヤーでしっかりと立ち上げることです。サイドと襟足は短く刈り上げるか、ボリュームを抑えてタイトに仕上げるのが鉄則です。なぜなら、サイドにボリュームがあると横に広がったシルエットになり、相対的にトップのボリューム不足やM字の食い込みが目立ってしまうからです。サイドをスッキリさせることで縦のラインが強調され、視覚的なバランスが整います。これを「ひし形シルエット」と呼びますが、この黄金比率を作ることで、どんな骨格の人でもスタイリッシュに見せることが可能です。特にビジネスシーンにおいては、アップバングが与える「仕事ができそう」「誠実そう」というイメージは大きな武器になります。髪型一つで第一印象が劇的に変わるのですから、試さない手はありません。セットの手順について詳しく解説しましょう。まず最も重要なのは、髪を濡らした後のドライヤーです。ここで8割方スタイルが決まると言っても過言ではありません。前髪を下から上に向かって風を当て、根元をしっかりと立ち上げます。この時、M字の奥まった部分(剃り込み部分)の髪は、無理に上げすぎず、自然にサイドに流すか、少し下ろしてM字の角をカバーするように動かすのがポイントです。中央部分の前髪を高く上げることで視線を中心(モヒカンライン)に集め、サイドの薄さをカモフラージュするのです。ドライヤーで形を作ったら、次は整髪料の出番です。M字を目立たなくするためには、ツヤの出すぎるジェルやグリースよりも、マットな質感のワックスがおすすめです。ツヤがあると髪が束になりやすく、頭皮の透け感が強調されてしまう恐れがあるからです。ドライな質感のワックスを少量手に取り、手のひら全体によく伸ばしてから、髪全体に揉み込むように馴染ませます。