AGA治療は保険適用外の自由診療であり、その費用は全額自己負担となります。毎月数千円から、場合によっては数万円の出費が一生続くかもしれないと考えたとき、経済的な負担が重荷となって治療の継続を断念せざるをえないケースは決して珍しくありません。転職による収入減、住宅ローンの開始、子供の教育費など、人生には髪の毛よりも優先してお金をかけなければならない局面が訪れるものです。しかし、金銭的な理由で治療をやめる場合でも、いきなり全てを投げ出すのではなく、賢い「撤退戦」を行うことで、ダメージを最小限に抑える方法は存在します。まず検討すべきは、治療薬のコストダウンです。もし現在、先発医薬品のプロペシアやザガーロを服用しているのであれば、ジェネリック医薬品(後発品)に切り替えるだけで、薬代を半額近くまで抑えられる可能性があります。効果や安全性は同等であり、多くのクリニックで取り扱われています。また、ミノキシジルなどの発毛促進薬を併用している場合、まずはミノキシジルだけをカットし、維持に不可欠なフィナステリド(またはデュタステリド)のみに絞ることで、月々のコストを数千円程度まで圧縮できるかもしれません。維持だけなら月3000円〜5000円程度で済むクリニックも増えています。これなら、お小遣いの範囲でなんとか続けられるという人も多いのではないでしょうか。それでも継続が難しい場合、あるいは「もうお金をかけたくない」と決断した場合は、治療の中止に向けて準備を進めることになります。ここで覚悟しなければならないのは、治療によって維持されていた髪がいずれ抜け落ち、治療前の状態、あるいは年齢相応の薄毛の状態に戻っていくという現実です。しかし、これは「リバウンド」というよりは、「本来の自分の姿に戻る」という表現が正しいかもしれません。AGA治療は時間を巻き戻し、老化に逆らうアンチエイジングの一種ですから、それをやめれば自然の摂理に従って時計の針が進むだけのことです。治療をやめた後のメンタルケアも重要です。髪が薄くなることに対する恐怖心はあるでしょうが、経済的なストレスから解放されるというメリットもあります。また、最近では薄毛を目立たなくするヘアスタイルや、高品質なウィッグ、あるいは自毛植毛(初期費用は高いがランニングコストは低い)といった選択肢もあります。バリカンで短く刈り込んで、薄毛を隠さずにスタイルとして楽しむ「スキンヘッド」や「ボウズスタイル」に移行するのも、潔い出口戦略の一つです。「お金が続かないからやめる」というのは決して恥ずかしいことではありません。自分の生活を守るための立派な決断です。ただ、やめ方には工夫が必要です。まずは医師に予算の悩みを正直に相談してみてください。減薬や薬の種類の変更など、予算内でできる最大限のプランを提案してくれるはずです。それでもやめると決めたなら、髪への執着を手放し、新しい自分を受け入れる準備を始めましょう。髪があろうとなかろうと、あなたの人間としての価値が変わるわけではないのですから。